「これから私たちの仕事は、この街の音楽文化はどうなってしまうのだろう?」
人口減少、少子高齢化による楽器、教室マーケット全体の縮小と競争の激化、音楽普及を担う指導者、楽器店販売員の高齢化と次世代のなり手不足、教育時間の減少、部活動の消滅等、学校音楽教育の変化、デジタル化の浸透による顧客のライフスタイルの変化に対する対応の遅れ、メーカーの販売チャネルの多様化による画一的な小売り政策(製販一体等)の終焉 等
日本の高度成長期とともに発展してきた楽器、音楽業界は、平成~令和にかけて世の中が変化していく中でマーケット全体も成熟し、それとともに上記のような課題が露呈してきました。
その状況に拍車をかけたのが、2020年から始まったコロナ禍です。
もともと市況が厳しい中、この未曽有の感染症によって私たちの業界も従来のスタイルでは仕事が成り立たなくなり、その対応にさらに疲弊し、5類に分類移行となった今も、以前の状態に回復できていない楽器店が多いのではないかと推察されます。
これはコロナが原因というよりも、時代の変化によって生じた上記の課題が、思っていたよりコロナによって早く進行してしまったためと考えています。
世の中の時流には逆らえません。
このまま何も手を打たなければ、変化に対応していかなければ、自分たちは生き残れない。
そんな不安を感じていらっしゃる楽器店は多いのではないでしょうか?
「音楽は楽しい。これは変わらない」
一方、時代が変わっても、変わらないものもあります。
音楽の持っている価値、パワーです。
音楽は、人間が発明した「教育」と「娯楽」の要素を併せ持つ、「多様性」を認める素晴らしい芸術です。
私たちはそれぞれの現場で、お客様が音楽によって笑顔になったり、興奮したり、感動したりそんな場面に数多く遭遇してきたと思います。
音楽には、年代、性別、人種を問わず人々の人生をより心豊かなものにする、そんな力があります。
これはこの先どんな時代になっても変わらないと思っています。
楽器店の皆様は、音楽が人々の人生にとってかけがえのないものになっていく様に、長年お客様の音楽生活を、懸命にサポートしてきたことと存じます。
その積み重ねが、地域の音楽文化の発展につながっていったのだと確信しています。
これからも人々は音楽を楽しみたい、音楽のある生活を大切にしたいと思っていてそこに私たちが必要とされる、私たちにしかできない仕事があるはずです。
もちろん、私たちの仕事はボランティアではありません。
時代の変化に対応しながら各課題を解決し、お客様の音楽生活をより豊かなものにしていくことで、お客様も、ここで働く私たちも幸せになれるような楽器店を目指していかねばならないと思っています。
「100年後も地域に必要とされる楽器店を目指して」
自分達だけでは、これから何をしていけば良いかわからない。同じ悩みを持つ同世代の次期経営者同士で、課題解決に取り組みながら切磋琢磨したい。他地域、また世界で、成功している楽器店の事例が知りたい。時代を勝ち残ってきた、自分の親とは違う先輩経営者の考え方も聞きたい。もっと会社を発展させていきたい…
この会は、楽器店の現状と未来に、不安と危機感を感じ、上記のように同じ志を持った、中日本地区の楽器小売り業の集まりです。
まだ始まったばかりの団体ですが、現在直面している業界の課題について、現場感のある議論を交わし、試行錯誤しながらではありますが、解決のための情報や好事例の共有、施策の実施等活発な活動を行っています。
このHPではその活動内容についてもご紹介しています。
ご興味のある方はぜひご一読いただき、ご意見等を頂けたら幸いです。
今後も業界内外の皆様のサポートも頂きながら、当団体の会員店が永続発展し、地域の音楽文化が発展していけるよう努力して参ります。
今後ともC-JAMMの活動に、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
中日本楽器小売商交流会 会長 伊藤 健太郎
(株式会社松栄堂楽器 代表取締役)